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西の端へ ダブリン編

日本列島と対になった、ユーラシア大陸のブックエンドのような島国へ。


組紐で面を埋め尽くすような独特の、いわゆるケルト文様への興味がきっかけで、いつか来たいと思っていたエリアです。多くの文明のゆりかごとなった中央~西アジアから日本と逆向きの最西端へ何がどう伝わったのか気になります。

ダブリンのトリニティー・カレッジ・ライブラリーは改装準備中。

蔵書はあらかた移動されていましたが、この奥のスペースで見開き2ページの「ケルズの書」を見ることができました。グラフィック処理できれいに蘇ったどんな立派な資料より、ところどころ不鮮明なたった2ページのほうが迫力があるのは不思議。

カレッジと博物館のあいだの、古い古いパブは休憩にぴったり。

雨宿りを兼ねてエールで”お茶”したり、バーガーを作ってもらってマティーニのグラスとともにゆっくり食事しながらオンラインでお仕事したり、皆さんいろいろな使い方をしています。

国立考古学博物館では楽しみにしていたアイルランドの金属工芸品でお腹いっぱいに。紀元前の金製品にはじまりバイキング統治時代から英国統治時代のものまで、2日かけてゆっくり眺めました。

どこかの文様好きの日本人が展示ケースのまわりで悶絶していた、11世紀のハンドベル。細部まで見どころがあり、見飽きません。・・・好きすぎる。

こちらは紀元前7~9世紀ごろの金細工品。

この2つのタイプは夥しい数の出土品が展示されていました。ふんだんに使われた金がどこからやってきたのかは未だ謎だそう。後者はサイズバリエーションが多すぎて、その使用目的もよく分かりません。

河口に位置するダブリン、どこにでもカモメがいました。パンの切れ端を投げるとカモメとハトで争奪戦が繰り広げられ(負けるのはハトと決まっていますが)、一日遊べそうです。


リフィー川の向こう側にある国立装飾芸術博物館はアイリーン・グレイの展示室を楽しみに訪れました。

アイリーン・グレイはアイルランド出身でロンドンとパリに学び、主にフランスで活躍したインテリアデザイナー。

漆と深いつながりがあり、アテナリの過去ブログで、関連書籍と映画についてメモしています。

彼女に漆芸を手ほどきした、菅原精造から譲り受けて使っていた道具類や、漆を使ったいくつかの作品も展示されていました。

箔をつかった試作品。

その試作品とも通じるテイストの、こちらは本人が愛用していたという指輪。

少ない色数のなかにさまざまな質感を含んで味わい深いです。しばらく休んでいた大きな指輪をまた作りたくなりました。


旅の記録は続きます。