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鳥文斎栄之展

新聞の紹介記事を見て興味をもった「鳥文斎栄之(ちょうぶんさい えいし)展」を見に、千葉市美術館に出かけました。

このところデザインの取材のために平安時代に没入する時間が多かったのですが、この日はすっかり江戸時代の雰囲気に浸ることに。

鳥文斎栄之は江戸時代、旗本つまり武家から転向した異色の画家です。

将軍家に直接仕える官僚の「旗本」にはたくさんの職種があり、鳥文斎栄之 は江戸城本丸で将軍の身の回りの物事を司る「小納戸」に属していました。

ん?「小納戸」って何する人ぞ?と調べた職種を挙げていくと、分かりやすいところでは「御膳番」「御髪月代」「御庭方」「御馬方」「御鷹方」などなど。で、鳥文斎栄之はそのうちの「絵具方」で狩野派の画家から絵も学んでいました。

人脈や環境に恵まれた画家としてキャリアをスタートした彼は、上流階級の日常を知る者ならではの描写力と洗練された画風、前職でのノウハウを活かした上質な画材をつかい、順調に実績を積み上げていきます。

展示会場には国内外所蔵の多くの版画と肉筆画がありますが、構図も何もかもがすっきり整理され一貫してモダンな雰囲気。

うんとたくさんの作品が海外へ流出したそうですが、今回里帰りした画は誰がみても品を感じるような静かな力があります。

そしていずれも色使いが美しく、展示後半の肉筆画は特に良い画材がたっぷり使われ、殊に赤は目が覚めるような力強さでした。


展示会は3月3日まで。一点一点に丁寧な解説があり充実した内容のため、興味のある方は滞在時間を2~3時間ほど見積もっておくことをお勧めします。


<アテナリ POP UP SHOP>
会期:2024年3月6日(水)~12日(火)
会場:日本橋三越本館 1F アクセサリーイベントスペース

パリオペラ座来日公演白鳥の巻

パリ・オペラ座バレエ団の来日公演。

心もとない記憶によると、ヌレエフ版の白鳥をライブで見たのは初めてかも。

初めてパリで見たバレエはたまたま公演中だった白鳥の湖、オデットはピエトラガラだったのを覚えていますがヌレエフ版ではなかったような。


今回の来日公演で一番見たかったのは若きエトワールのギョーム・ディオップ。

成人するかしないかの年齢の王子、ヌレエフ版は家庭教師(ロットバルト)の心理的な影響下にある設定なので、年齢なりの困惑や無関心や内向性が自然に感じられてとても新鮮でした。

踊りのほうは美しいとしかいいようがなく、これから長く長く続くキャリアでどこまで伸びてゆくのか、楽しみでしかないです。


一昨年マイヤリンクを見て気に入ったブルーエン・バッティストーニも、2つの役にキャストされていて、ラッキー。

他の配役でも、注目していた伸び盛りの若いダンサーを見ることができて良かったです。


そして、ディオップ君目当てのためオデット/オディールは誰であっても見に行くことに決めていましたが、コラサンテはさすがの貫禄。

間違っても「頑張り」や「100%」を感じさせずエレガントにまとめるのがパリ・オペラ座バレエの真髄ですが、まさにそれを体現していました。

技術だけでなく、4幕の永遠の別れを惜しむマイムでは涙が出ました。このあたりはベテランの表現力の勝ち。

公演は大入りです。

「お客さんぎゅっと詰まった文字が美き」

<アテナリ POP UP SHOP>
会期:2024年3月6日(水)~12日(火)
会場:日本橋三越本館 1F アクセサリーイベントスペース

蘭ざんまい

台湾のそこここの軒先で見かけるのは、景観になじんだ蘭の可愛らしさ。


・・・からの、東京の世界らん展。

以前から興味があったものの、今回初めて出かけてきました。

白い縁取りの胡蝶蘭、最高。

白い鳥、白い花の、白さにはいつも感動させられます。

和蘭系はさっぱりと繊細で、好もしい。

唯一名前を覚えている「ブラックパール」。

赤の潜む黒い花は独特の存在感。

もうひとつブラック系の、葉の根本に花を咲かせる不思議な種。


会場の半分は世界各地からの苗や鉢を売るブースで、自分じゃない「蘭を育てる自分」を夢想しながら、ぶらぶら。


現実には植物を育てる才能がゼロ以下で、会場で唯一求めたのは何故かブルガリアワイン。

初めて試してみるメルニック、美味しかったです。

<アテナリ POP UP SHOP>
会期:2024年3月6日(水)~12日(火)
会場:日本橋三越本館 1F アクセサリーイベントスペース

人形劇芸術センター

台北の人形劇芸術センターを訪れました。

館内には子どもたちの見学グループや、海外からのビジターの姿も。

台湾では対岸の人形劇文化が伝わりポピュラーになった後、(他のたくさんの娯楽と同じく)ライフスタイルの変化により絶滅寸前になります。

前回台湾を訪れた際はたまたま公演を見ることが出来ましたが、立派なホールに観客は20人ほど。文化は存続を目的とした瞬間から頑として衰退をはじめる不思議な生き物です。


館内では主に台湾の布袋劇(ポティヒ)と呼ばれる指人形劇の歴史解説、実際に使われていた人形や衣装の展示、それから世界の人形劇(指人形、影絵、操り人形)が紹介されています。

展示されていた布袋劇の人形のなかのひとつ、どことなくミッシェル・ヨー似の美人さん。

細部まで丁寧に作られた人形の衣装は、サイズ25cm四方ほど。

ぎりぎりまで使い込まれた状態が「ここまで凝った衣装で演じる機会はもう訪れない」という演者の覚悟を物語るようです。

武生(ウーション=武人の立ち回り役)の衣装。裾が割れて動きやすくなっています。

館内には観覧者が実際に人形づかいを試せる場所がいくつかあり、海外からのビジターのひとりは大はしゃぎ。なんとも大人気ない。


人形劇の何が面白いかというと、やはり演者によってモノに何かが宿るところでしょうか。

名演者による人形劇の舞台は、お腹の底から感動します。

南へ初詣に

年末年始は東京で忙しかったので、少し落ち着いてから初詣を兼ねて素材探しの旅へ。

ここは毎回お詣りする場所。春節モードに入っていて、赤い提灯がきれいでした。

曰く、

「読好書説好話」良い読書は良い話をつくる

「行好事做好人」良い行いは良い人をつくる

はい。心がけます。

ここは元時代に海の女神を祀るために建てられたそうで、遅くとも南宋時代には大陸から人が移住していたという、離島にあります。

今年もいくつかのお寺を巡りましたが、その中で一番古かったところ。

こぢんまりしていますが、古い凝った装飾がつくる雰囲気は、とても気に入りました。


台湾では立派な寺から空き店舗あとに作られた簡単な設えまで、とにかく祈りの場所を頻繁にみかけます。

文字に祈りを込めて掲げるのも一般的です。

「日々平安」が一文字に。

毎日「福」の字を目にしていると、人生変わりそう。


街なかで垣間見る徹底した合理主義と、目に見えないものに対する信仰の篤さは、一見矛盾するようでもあり、合理性に全てがくるまれているようでもあり、興味深いです。