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ブダペスト国立美術館名品展

色と光沢が、万華鏡のよう。

パナソニック汐留美術館のハンガリー国立工芸美術館名品展では、「ジャポニスム」を軸にセレクトされた、アール・ヌーヴォー、アール・デコ期の陶磁器、ガラス器が見られます。


展示品には、日本の蒔絵や七宝を再現しようと頑張った(失礼!)ものや、それまで西洋になかった要素を取り入れたものが多くあります。それはたとえばありふれた昆虫や動物、様式化されない草花の自然な姿を愛でること、工程の一部を偶然にまかせることによって生まれる美しさなど。


あふれる色柄から、遠く東の異世界に触れたことによる軽い興奮まで伝わってきて楽しくなります。

表現も技法も多様な160点余りの展示品のなかで一番気に入ったのは、ジョルナイ陶磁器製造所の小花模様。手のひらサイズの「花煙帯文花器」は、可愛くて濃密。バリエーションがあれば、全部見てみたいです。


ハンガリー国立工芸美術館は現在改装中で、この展示会は全国を巡回してきて東京がラストなのだそう。
会期は12月19日までです。

南時間

2年前に 「五月九月(ぐんぐぁちくんぐぁち)」でそのパロディを見てから気になっていた琉球組踊(楽劇)の『二童敵討』を見に行きました。


日本の様式を参考に、中国の楽器、東南アジアの旋律を組み合わせたという琉球オリジナルの組踊は独特の魅力があります。


例えば音楽の柔らかさは三線や胡弓、弦をゆるく張った箏によるもの。

台詞の音のとり方は繊細で、五線譜では表現できないニュアンスを堪能できます。

『二童敵討』は、政争で父と兄弟を失った男児ふたりの敵討ちの物語。

この日母親役を演じた新垣悟さんが素晴らしかったです。

仇討ちへ向かう子供ふたりを見送る母親の心のゆれが、見事な台詞まわしとゆったりとした視線の動き、わずかな所作で語られ、忘れられないものになりました。

時間の流れかたが変わる、幸せなひととき。

機会があればまた観に行きたいです。

ピアノの指揮者

そろそろそんな季節

ショパンコンクールの二次予選が始まって、ショパン漬けの日々。

昨日のポーランドのアンジェイ・ヴェルチンスキの演奏は素敵でした。

ピアノは88鍵しかないのにオーケストラのような表現力で、20年後に指揮棒を振っていても何の不思議もないです。
今回何かの間違いで入賞しなかったとしても、将来ライブで聴ける機会があれば逃したくないアーティストでした。

ワルシャワはいつか行ってみたい場所です。

LOTポーランド航空の飛行機に乗って「只今より当機はワルシャワ・ショパン空港へ向けて着陸態勢に入ります…云々」というアナウンスを聞きたい!

さあ今日も製作のおともはショパンです。

時代と闘った女

ムーランの旧兵舎、今は国立舞台衣装センター(舞台芸術の好きな方にはお勧め)

『ココ・シャネル 時代と闘った女』を観ました。

同時代の写真、映像をつなぎ合わせながら語られる、謎の多いひとりの女の一生。力作でした。


冒頭でまず、有名な孤児院のエピソードが全否定されてびっくり。

シャネルブランドの商品イメージと修道院とをリンクさせた神話を打ち砕いて始まる55分の映像作品です。

「目立つためなら何でもした」というパリ時代のスタート、対独協力者としてパリに居られなかった戦後の10年間、香水事業で盤石な資金源を得てからはモードとの乖離。

容赦なく淡々と語られるエピソードは興味深く、観終わってようやく、何かの象徴でなく血の通った人間像が出来た感じです。


自立を目指して戦ってきたシャネルが旗を降ろす相手、オーナーのヴェルテメール家との確執は、機会があればもう少し知りたい。

なお、シャネル女史は早口なので(笑)字幕が到底足りず、フランス語を聞いて理解できる人は3割増しで楽しめそうでした。

水を飲む

まことに都合よく公演日程変更があって、ザハロワ&レーピンの舞台を見に行くことに。

上演時間一時間半で、休憩なし。こういう時期に丁度よいスモールスケール。


考えてみたら、生演奏の舞台は一昨年末のゲルギエフ以来です。(先日の『羅生門』で笙の演奏はありましたが・・・)

レーピンのヴァイオリンに合わせてライモンダを踊るキラキラしたザハロワを見ながら、あぁこれは必要だとしみじみ感じました。

水を飲んで初めて喉の乾きに気づくことがありますが、そんな感じ。

一時間半のあいだに6演目を踊り切るザハロワが、ただただすごい。もちろん衣装やヘアメイクもその度に完璧にチェンジ。
一流のバレエダンサーだからといってこの方の踊るもの全てが好みという訳ではないのですが、このプログラムでは彼女のダンサーとしての魅力とともに、高いプロ意識に感動させられます。

このシリーズの公演に出かけるのは2016年の初公演以来の2度め。

その時に一番良かったと思った『Revelation』は今回も良く、初回にはなかったビゴンゼッティの『カラヴァッジョ』がまたとても良くて、いつか全部見たいと思いました。

最後のシメ『Les Lutins』も冒頭のレーピンとロブーヒンの掛け合いが時流を取り入れてアップデートされていて、漫才風味で面白かった!

本拠地のボリショイ劇場が夏休み中だからとはいえ、ザハロワと踊る男性ダンサー陣がかなりの豪華メンバー。

この困難の中、公演を実現させてくれた方々すべてに感謝です。