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NDTⅠ

NDT公演@新宿文化センター大ホール。
「Toss of a Dice」
今回の公演は3演目あって、これが唯一キリアンの振付作品。
最初から最後まで、わりとつまらなかった。んー、この調子で3演目だと辛いなあ、と思いながら1回目の休憩。
「Signinf off」
面白い。というかキリアンっぽい。
少々官能的に2つの身体がバランスしながら展開していく踊りも、独特のライティングも、あのグレゴリオ聖歌にのせた『優しい嘘』を彷彿とさせる。
振付家と衣装デザイン担当者が同じ名前っていうのも珍しい。
「Walking Mad」
ブラーヴォ!とてもとてもマッツエックっぽいけれど、かなり楽しい。
帽子と、そっけないコート、この衣装から、振付のボキャブラリーや、壁を使った技(!)まで、「スモーク」みたい。2曲めの音楽は「スモーク」で使われていたものだと思ったけれど。
でも皆さんよく踊りますねー。「ボレロ」の曲のあと、まだあれだけ踊れるのがすごい。
とっても楽しかった。
公演のあと、一緒だった人たちと食事をする。
サッカーの話になったのだけれど、バレエファンとサッカーファンはわりとかぶっているのだそうな。彼は「空間支配の技という意味では同じ」と言っていたけれど、確かにそうだな。
ゴールの片隅へ吸い込まれていくボールが描く弧の美しさとか、集中力や、パッションと技術のきっちり組み合ったものが観る人を惹きつけるところとか、何かしら共通要素はあるのかもね。
そうそう、友人いわく「(勝ち上がっている人たちは)狩猟民族で、私たちと完全に違う」。
私はテレビで試合を観ている訳ではなく、ニュースでゴールシーンを観るくらいだけれど、ゴールに執着、ゴールが全て、ゴール大好き、ゴール命!という身体に染みついたものを、確かにはっきりと感じる。だれかがやっつけないと、今日の食事はないし、やっつけた人はヒーローになれる。とても分かりやすい。

愛、それはダンス

ちょっとこのタイトルはレトロ感がありませんか。
ベジャールバレエ公演の2演目め。
『春の祭典』やこの前見た『バレエ・フォー・ライフ』、『さすらう若者の歌』など、代表作のオムニバス作品で、かなりの充実度。満足度。
配役表をみて今日もジル・ロマンは踊らないのね~と話していると、開演直前にアナウンスがあり、「ブレルとバルバラ」を急遽彼が踊ることになったとのこと。当然わき起こる拍手。
最近シアターTVで見た「ブレル~」は彼とエリザベット・ロスが踊っていたこともあって、かなり嬉しかった。
そして彼が踊ったことで、「振付を踊る」人のバレエがとたんに薄っぺらく見えてくる。本当にすごい人だ。すごい人ってそういうものだ。
映画『エトワール』で、ジロが「バレエを愛している、という言葉では弱すぎる。バレエを生きている」のだと言っていたけれど、そのことをふと思い出した。自分の真ん中に何かがあるのね。
あとは『バレエ・フォー・ライフ』で良かったと思った人たちがやっぱり良かった。ズアナバールが踊る”イン・ザ・ミドル~”、一度でいいから見てみたい!
今回の来日公演の東京公演最終日だった様子。
お決まりのテープ&看板で、スタンディングも出て盛り上がって終了。最後にはカーテンの向こうから拍手も起こっていましたね。良かった、良かった。
6月も、NDT公演をひとつ残すのみ。

DIE WALKURE

6月21日、メトのワルキューレ公演。
17時開演の公演を見るのに、今日はお休みをとった。
ホールに集う人びとは、年配の人ばかり。ちょっと異様な光景だった。30年後、いや10年後でも、オペラ見る人少なくなくなっちゃうね、なんていいながら開演を待つ。
これは平日の微妙な開演時間だとか、チケットの価格の問題も大きいだろうけど、それだけでもないような気がする。
公演は休憩込みで5時間。
気合い入りますね~。軽く食事をとったり、なるべく座らないようにして体力温存したりして。
公演の日の朝、ドミンゴをライブで見るのはきっと最後だね、と彼と話していた。
しかも私はライブで見るのは初めてで、最近テレビで彼の若い頃のジークムントを何度か見ていたので、正直今の、本物のドミンゴを目にすると、この年(具体的にいくつか知らないけど)でこの声が出るのか・・・とちょっと感動した。
この演目は、「いくら何でもそれはないだろ」という非現実的なストーリー展開の中に、すごくベーシックな人間のありようが強く描かれていて、見る度に新鮮。
今回は、ジークムントよりよほど人間的なヴォータンの葛藤に注目。あと、ワルキューレたちひとりひとりはどんな生い立ちなんだろう?と興味を持ったり。
そうだカーテンコールではオーケストラのメンバーがフラッシュびしばし焚いて歌い手の写真をとっていた。いいの?これ。
オーケストラといえば、休憩時間にピットをのぞいたら弦楽器がどれも使い込まれていて良い感じだったなあ。
ああ楽しかった。ありがとうございました。

バレエフォーライフ

2度目に見る演目。ベジャールバレエの来日公演@五反田ゆうぽうと。
休憩なしの110分、あっという間に終わってしまった。
4列目でかなりダンサーが近くに見えたので、全体を眺めるというよりも個のダンサーをよく見ることができた。
エリザベット・ロスは素晴らしい。彼女は、最近見た映像(ブレルとバルバラ、の)でとても静かに話すのを見てさらに好感度アップ。静かに落ち着いて話す女性は私の憧れなので。ジュリアン・ファヴローのカリスマ性、それは必要なときに強烈に輝くけれど、一員として踊るときには完全に隠されていて、それがとても不思議。
そしてジル・ロマンの不在の大きさ。(最後は出てきたけれど、だから余計に感じる)
それ以上に、モーリス・ベジャールの不在の大きさ。
シアターTVで最近放映されているベジャール関連の映像の中で、彼が「ツアーに出かけると、いろいろな不平や不満を持つ者もいる。僕は彼らの父親のような存在」というようなことを話していたのだけれど、そのことを思い出し、彼の不在のツアーを想い、オープニングからちょっと涙ぐんでしまう。
オッタヴィオ・スタンリーは何かしら人を惹きつけるものがある。気がする。うまく表現できないけど、無理がない。自然なんですよね。踊りの上手下手とはもしかしたら関係なく。
最後のドンの映像には、「絶対泣くものか」と思っていたのに、だめだった。やっとおさまったと思ったら、カーテンコールのときに目を赤くしたロスを見てまた泣ける。
心を打つのは、心だけ。そんなことをしみじみと思えた良い公演でした。

京焼

今日も午前中は漆、午後は美術館、のパターン。
漆はいろいろなことを試している段階で、楽しい。
筆を動かしていると、やたらと心が落ち着いて集中力が増すのが分かる。
しかしそろそろスピードアップしていきたいかも。工房がほしい。
午後は三井記念美術館で京焼を見る。
ゴージャスな金襴手がやはり一番好き。渋い赤に、渋い金でみっしりと描かれた模様。ため息が出る。あとは、外側に藍色、内側に銀彩を施してある茶碗はモダンでかなり素敵だった。
展示品の中に、ベトナムの着彩のコピーという黄色・紫・緑の3色づかいのものがいくつかあるのだけれど、そのうちの紫を一色だけ使った皿に心惹かれた。一見、黒に見えるくらいの濃い紫。この上に似た色の羊羹でも乗せたら・・・と思うと、その沈んだ似た色同士の組み合わせを想像して楽しくなる。
こんな感じで、ひとつの器をみながら、皆が勝手なことを想像しているのでしょうね。
そうそう、陶器に漆を塗り重ねたものとか、釉薬を塗らずに研いで磨いて仕上げたものとか、技法もいろいろあって、面白い展示会だった。
それはそうと、ぱっと明るい青磁の器に金継ぎしたら、綺麗だろうなあ。割らないと継げないけど!