空に秋の気配あり。
国立新美術館の 李禹煥展を見てきました。
昔むかしインテリアデザインの雑誌で見かけた、どなたかのリビングルーム。
壁にかかった作品が気になってずうっと記憶にあり、しばらく後にそれがLee U Fanの作品だと知ります。
今回は御本人の監修の展覧会で、70年代の立体作品から新しいものまでひととおり見ることができました。
全部見て心に残ったのは、消えぎわの美しさです。
顔料と膠を混ぜて、筆の顔料がつきるままに記された点や線の、顔料の尽きて膠だけになった半びかりの跡とか、色のグラデーションが白へ収束していく少し手前の、なぜか白より眩しく見える部分とか。
一番気に入ったのが1970年に発表された「関係項<於いてある場所>Ⅰ」の鉄板5枚組の作品です。
厚さ5ミリほどの大きな鉄板は、立ててあると刃のように威圧的で暴力的に見えますが、角度をかえて床に寝かせると静かで空間に消えてゆくように見えます。
同じものが、置く角度が変わるだけで全く別の性格に見える不思議。
屋外に置かれた「エスカルゴ」の中。
展示室で心に残ったのと同じ、消えぎわの面白い風景が撮れました。