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雪の舞

久しぶりに素踊りが見たくて、坂東玉三郎さんのお話と素踊りの会へ出かけました。

結論を急がない話し方は独特で、聞きながらゆっくりと思いを巡らせることが出来、気持ちの良い時間でした。

芸の稽古と雑念についてのお話は、踊りに限らず普遍的。

よく言われることと逆に芸に雑念はつきもの、むしろ専門家であれば芸に夢中になってはいけない、次々にあらわれる自分の芸への雑念(状況把握やら疑念やら計算やら、まさに雑多な)に対処し続けることが技能向上に欠かせず、そのあいだ芸を破綻なく見せていく方法は稽古しかない、というものでした。

踊りは地唄舞の「雪」。

動きの極端に少ないこの踊りで空間を支配できるのは本当に限られた人だけだと思います。

そしてその味わいを理解するホールいっぱいの観客がいることもまた、素敵なこと。

普段は鮮やかなドラマツルギーや華やかな動きで「すごい」と思わせるダンスやバレエを見る機会が多いので、久しぶりにこういう舞踊を観ると新鮮です。

写真はよく行くパティスリーで撮った葡萄の若葉。

やわらかく無防備な外見の中に、正確な制御と成長に必要な強いエネルギーが潜んでいます。